鉄損とは、交流で磁化したときに失われる電気エネルギーのことを指します。磁区が向きを変えるときのヒステリシス損と渦電流の発生による渦電流損を 合わせたものです。
極薄電磁鋼板は、従来の板厚の厚い材料に比べて、渦電流の発生が少なく、極めて低い鉄損を実現しています。その性能は、特に高周波域で際立ち、高周波トランス、高周波リアクトルの高効率化、省エネに貢献します。
飽和磁束密度とは、外部から磁力を加えて磁化させていったときに、それ以上磁化しなくなったとき(磁化が飽和したとき)の、磁性体の磁束密度のことです。
透磁率とは、磁化のしやすさを表す指標で、外部から磁力を加えていったときの磁界の強さHと磁性体の磁束密度Bとの関係(B=μH)の傾きμで表さ れます。
極薄電磁鋼板は、高い飽和磁束密度を有し、高周波トランス、高周波リアクトルの小型化に貢献します。また、高い透磁率を備え、シールド材への適用においても優れた力を発揮します。
方向性電磁鋼板とは、鉄の結晶の磁化しやすい方向(<001>方向)が鋼板の圧延方向にそろっている鋼板。圧延方向に磁化しやすいという特長 を持っています。主に、トランス、巻鉄心などに適用されます。
無方向性電磁鋼板とは、結晶の方向がランダムな鋼板で、磁化方向が特定方向に限定できない用途に用いられます。モーターなどに適用されます。
鋼帯表面に形成されている絶縁皮膜は、積層した際に層間の短絡を防止し、局部的な渦電流の発生を抑えます。このため、優れた絶縁性と積層された時に 破壊されない高い強度が必要とされます。